ジャッキー吉川とブルー・コメッツが1972年秋に解散した当時、まさか30年を経て彼らのニュー・アルバムが聴ける日が来るとは、熱心なファンですら思っていなかったに違いない。2000年に亡くなった井上忠夫(大輔)の音楽葬で、残された4人が当時のヒット曲を演奏したことがきっかけとなり、また同年11月に発売された彼らの10枚組のCDボックスが、当時のファンは勿論、当時を知らない若いGSファンにまで評判を呼び、再評価の声が高まったことも追い風となって、翌2001年の10月20日のライブから本格的な活動再開、そして今回、正に待望のニュー・アルバムの発表となった。ここに収められたのは、ラストに収録された「レクイエム〜ブルー・シャトウ」を除けば、何れもメンバーによる書き下ろしの新曲である。

 タイトルナンバーとなった「BLUE COMETS FOREVER」は、作詞をメンバー全員、作曲は小田啓義が担当しているが、歌詞中にブルコメのヒット曲等のタイトルが織り込まれているのが話題になっている。登場するタイトルがシングルA面だけではなく、人気の高いB面曲やアルバム収録曲も含まれているのも、ファンには嬉しいところだろう。

小田はこの他にも、名曲「マイ・オールド・タウン」を思い出させるロッカ・バラード風の「あの夏へ帰ろう」や「冬のペーブメント」、30年前の解散時からずっと温めていたテーマだったという「夢の続き」を書いているが、特に作詞も担当した「夢の続き」は今回のアルバムの裏テーマ的な1曲にもなっている。

 三原綱木が書いた3曲は、ブライアン・セッツァー・オーケストラを思わせるようなネオ・スウィング風の「Oh no - 涙浮かべた水溜り Blue -」、プログラミングを多用した「灼熱ヴィーナス」「魅惑のアゲハ蝶」と、何れも外部のアレンジャーを起用した作品で、あえて過去のブルコメカラーにとらわれずにという意欲が感じられる。ある意味では現在の三原カラーが前面に出たソロワーク的仕上がりとも言え、"Tsunaki World"と銘うったのはそうしたことを加味してのものと思われる。

 高橋健二はカントリー風の「星空を見上げて」、そして今年惜しくも他界したささきひろとの未発表詞である「小さな壷」、この2曲を書き、「小さな壷」ではリード・ヴォーカルも担当した。ブルコメファンには名曲「甘いお話」で有名なささきだが、他にもスパイダースやバニーズ等にも詞を提供しており、GSファンには馴染みが深い作詞者の1人。ちょうど訃報が届いた頃に、たまたま高橋の机の引き出しから見つかったのが、この曲の自筆原稿だったという。

 そして最後に小田のソロピアノによる「ブルー・シャトウ」の変奏曲、これが井上忠夫へのレクイエム(鎮魂歌)として収録されている。

 往年のブルコメ・サウンドを思わせるようなナンバーもあれば、当時のアルバムに収められていたような肌合いのナンバー、そして現在のJ-POP的なナンバーまでと、古くからのファンにとっては懐かしさも、そしてもしかしたら違和感も、このアルバムの中に同居しているかもしれない。

しかし、GSブーム当時のみならずブーム衰退後も、音楽性の追求のために常に試行錯誤を繰り返していたこのバンドが、平均年齢62歳という熟年になってもなお、その音楽に対する変わらぬ姿勢を見せていることに、素直な驚きを感じずにはいられない。(志賀 邦洋)




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